セロ弾きのゴーシュ

扉を押してはいってきたのは大きな三毛猫でした

猫はゴーシュの畑のトマトを手にもって、
「ああくたびれた。これおみやです。たべてください」

ゴーシュは昼からむしゃくしゃしていたのでいっぺんにどなりつけました

「なんだと。誰がトマトなど持ってこいといったっ」

ねこはにやにや笑いながらいいます
「トロメライを弾いてごらんなさい。聞いてあげます」

「生意気だ。生意気だ。生意気だ!」

ゴーシュはわざと「印度の虎狩り」をものすごい勢いで弾きはじめました。
猫はあわてて扉にどしんとぶつかり、しまいには風車のようにゴーシュの
まわをぐるぐる回ります。

ゴーシュがようやくやめると、猫は風のように逃げて行きました